ぬけがら
JUGEMテーマ:日記・一般
抜け殻ならまだいい
とんでもない荷を背負うよりはいい
何事もないほうがいい
隠れた苦しみを生むよりはいい
大雨の朝
脱皮して間もないセミのその羽根が
透明になる前の青い色のまま命を絶え地に落ちていた
たまたまの大雨に打たれてのことだったのだろう
運命(荷)というものを思った
翌朝、青い羽根の亡骸のすぐ上で、それを知らずかセミの大合唱が湧き起った
その日の夕方、抜け殻だけを残しその姿はなくなっていた
自然界の連鎖の仕業だろう
ようやくの思いで脱皮を終えたばかりの亡骸には胸を痛めたが、
亡骸の去った抜け殻への悲しみは減じていた
いっそ何事もすべての始まりも何もなければよかったのにとも思った
ある朝、命が途絶えたばかりのスズメに出会った
突然のことだったのだろう
その体はまだ柔らかく、触れると揺れる両足はまるでまだ命をとどめているように見えるほどだった
どうして命を落としたのかはわからない程にきれいな姿だった
あまりにも道の中ほどの姿であり、車にでも轢かれやしないかと道端に移動させた
その日の夕方、その姿はもうなかった
自然界の連鎖が連れ去ったのだろう
人は多くのことに思いをはせる。
一方で生きる本能に精一杯であろう彼らが、
やりきれない思いや不幸や悲しみを抱かずに旅立ったと思えば、
胸の締め付けも少し楽になってゆくのを感じた。