珈琲タイム昨今
〜 珈琲タイム昨今 〜
窓越しに覗いたカフェ。
中からは珈琲豆の香りが嗅覚に話かけてくる。
この店独特の雰囲気が伝わってきた。
その昔の懐かしい想いにさせられるのは、マスターが自ら珈琲豆を挽き、
馴染みになると、ちょっとした会話を持つことだった。
あの頃はこれほど大きな喫茶店はない時代だった。
今も、思い浮かぶのは、ガロの「学生街の喫茶店」という人も多いだろう。
彼らが通った喫茶店はどんなだっただろう。
懐かしさと共に、ふと、そんな想いがよぎった。
時は流れ、一日を終えた帰り道。
お月さまがどこまでもついてくる。
今の時代、コンビニでコーヒーを入れ、店の外の壁にもたれかかってお月さまとお話をして、夜空の空気
が今日の労をねぎらってくれる。
見ていると、同じ様な時間に同じ人が足を運んでくるものだ。
この場所での一息が、多くの人の安らぎを生んでいる。
誰一人、声をかけ合うこともないが、まるで互いを気遣うように、無事を確かめ合うように意識は刻まれ、
どこまでも深く和んだ静かな思いが感慨となり押し寄せてきて辺りを包むのだった。
明日を思う余裕などはないが、今という時の安堵が十分すぎるほどに染み渡るのを感じていた。
時代は移り変われど、そっとそこで輝き、加護を受けるココロの形に違いない。